眠りを知って幸せになろう

1.ヒトはどのくらい眠る?

みなさん、眠ることは好きですか?眠ることが一番の楽しみになっているという方もおられますよね?眠ることは、脳の働きとして重要な機能のひとつです。年齢の差もありますが、ヒトは1日の約1/3を睡眠時間に充てています。単純計算すると、80歳で365日×80年×1/3=9,700日以上、なんと約26年8ヶ月分も眠っていることになります。ヒトはこんなにも長い時間を眠っているのです。そこで、(今回は)私たちが毎日当たり前に行っている「睡眠」について述べていきたいと思います。

 

3分の1

2.体内時計と眠り

みなさんは「体内時計」という言葉をご存知でしょうか。私たちの体の中にはあたかも時計のように固有のリズムで活動するペースメーカーのような働きをする部位があります。睡眠に一番影響を与えるリズムは概ね1日を意味する「概日(サーカディアン)」リズムで約24時間周期の睡眠覚醒リズムです。しかし、このリズムは24時間よりすこし長めの周期で周るため、私たちは毎日体内時計を修正しなければ日時計とのズレがどんどん広がっていきます。そのまま放置すれば、そのうちに昼夜がまるっきり逆転する生活になってしまう恐れがあります。この修正機能に作用しているのが「光」による刺激です。光による刺激を入れると体内時計はリセットされる仕組みなのです。ヒトは規則正しく夜に睡眠をとり、朝起きたら明るい光(太陽光)を浴びて体内時計をリセットすることが健康な生活サイクルです。寝る時間が不規則になりがちな場合は、睡眠時間よりも、起床時間を一定に保つことが大切なポイントです。

 

体内時計

 

この機能の乱れによる睡眠障害は「眠れない」という不眠症状態で、高齢者や更年期の女性からよく聞かれます。これを放置しておくと高血圧症、糖尿病、高脂血症、肥満、発がんの発症リスクが高まることも分かってきています。

 

3.どうして眠れないの?

規則正しく眠ることを心がけてもどうしても眠れない、ということはあります。不眠の訴えは日本人に意外に多いといわれています。私たちは、社会生活のさまざまなストレスを感じながら生活しています。みなさんは、「自律神経系」という言葉を耳にしたことはありますか。自律神経系とは、生命維持のために本人の意思に関係なく機能する器官の働きを調節する神経系のことです。この自律神経系には2種類あります。それは活動すること・緊張・興奮を司る交感神経系と、休息すること・リラックスを促す副交感神経系です。眠るためには、1日の生活の中のストレスを取り払い、副交感神経系の作用を高めることが必要です。

眠るために必要なことは次の3つに大別されます。

 

眠りに必要

 

<身体>

歳をとると眠れなくなるのは、身体の老化と同様、脳や神経系も老化する自然の摂理です。メリハリもなくなり、長い時間ふとんに入っていてもぐっすり眠ることができず、早起きになってしまい、そのため昼間は睡魔に襲われついつい居眠りをしてしまう…。といった具合です。

<環境>

睡眠環境においては、光・音・振動や室内、寝ているふとんの中の状態(寝床内)の温湿度・枕やふとんなど寝具といったものが適切でない場合、快適な睡眠を得ることが難しくなります。枕が変わると眠れないという方もいらっしゃると思います。近年、住居設計やエアコンなどの空調設備の機能をはじめ、冬季・夏季の寝具開発に関してヒトの眠りの特性が考慮されるようになってきています。正しい知識を持って使用するなら眠りに関する不満を大きく軽減することが可能です。

<心理>

眠りのトラブルの原因を探っていくと、実は心理的要件がかなり影響していることがわかります。私たち現代人は、なんらかの不安・ストレスによって、些細な環境の変化に過敏になっているのです。眠ることが果たす最大の役割は疲労回復、精神的疲労の回復といえるでしょう。ところが睡眠を最も妨害しやすいのも、この精神的疲労そのものです。何らかのストレスがあって眠れないから、そのストレスが解消されることはないまま、さらに眠れないこと自体をストレスに感じてしまいます。このような悪循環にはまってしまうと、健康な生活とは程遠くなってしまいます。

 

4.眠りを知って幸せになろう!

どうすれば睡眠をしっかりとることができるでしょうか。睡眠時においては、寝室空間や寝具などが睡眠に影響を与えていることは前述のとおりです。寝室内の温度や湿度、音環境、光環境、香りなども整えて適切な睡眠環境を整えましょう。しかしそれだけでは足りません。睡眠時間以外も含めて生活にメリハリをしっかりつけることが快適な睡眠のポイントです。規則的な睡眠を確保するには、朝の光をしっかりと浴びて覚醒すること、そして規則正しい食事や軽い運動などによる生活リズムを整えましょう。特に朝食はしっかりと摂り、1日をスタートしましょう。ストレスをためないように人と話すなど気持ちを楽に生活しましょう。

 

気持ちいい朝

 

監修:萬代 宰(足利工業大学 睡眠科学センター教授)